古文嫌いになるのは助動詞が苦手だから
高校古文が嫌いになるきっかけは、「助動詞が意味不明」となってからの生徒が圧倒的に多いと思います。だいたい、どこの学校でも二学期から学習を始めていくことが多いようです。「き」とか「けり」を学習している時は良いけれど、「む」とか「る・らる」とか意味の識別が始まると途端に苦手になるような生徒が出てきます。だいたい2学期になると、国語だけでなくどの教科も学習レベルが難しくなってきて、日々の学習において着実に成果をあげている生徒との差が開きやすくなる時期です。ここでは、改めて学習のポイントを提示するとともに、少しでも楽しく学習を進められるきっかけを伝えたいと思います。
助動詞学習のポイントは
①意味(どのような意味があるか)Ex .打消、過去など・・・
②活用(どのように接続するか)活用表も覚える
③接続(何形の下にくっつくか)
上の3つのポイントは、何度も唱えさせたり、復唱させたり、毎回の授業の最初に言わせたりして、確実に言えるようになるまで、やりつづけます。そこまで徹底させないと、どんな学習を進めていくのかをそもそも理解できないまま、学習を続けていくことになります。絶対言えるようになるまで、何度もやりましょう。
「風立ちぬ」どう訳す?
そもそも、どうして助動詞の学習が難しいのか、それを考えるときに以下をどう訳すか考えてみてください。
聞いてみると、「風が立たない」と答える子がいますが、実は正解は「風が立った」です。実は、「ぬ」は「打消」ではなく「完了」なんです。「ぬ」という言葉には、打消も完了も両方あるけど、それは実は「接続」と「活用」をしっかり学習してからでないとよくわからないのです。だからこそ、上の3つのポイントを意識して助動詞を学習していかないと、古文の内容をいつまでたっても自力で読みとくことは不可能になってしまいます。逆に言えば、助動詞学習をポイントをしっかり意識して学べば、自力で古文を読むことができます。ぜひ頑張ってください。
「風立たぬ日」だと「風が立たない日」と訳します。
B5のカードケースを用意しよう
私が高校生の時、代ゼミ(今は東進)にいる吉野先生に、助動詞活用表をカードケースに入れて、いつでも見返すことができるようにした方が良いと指導を受けたことがあります。できない生徒に限って一度にすべてを理解して定着させるような傾向があるのではないか、と感じています。できる生徒は、少しずつ何度も繰り返すことが得意です。だいたいどこの学校でも文法書を購入させているはずです。裏表紙にある助動詞活用表をコピーしてケースにいれておくことが大事です。だいたい100均に売っていますからね。ソフトとハードがありますが、ハードなら下敷き代わりに使えますからオススメです。
歌で覚えよう!!
私は、以下のような歌を歌うことで、生徒に「意味」「接続」を覚えさせています。「接続の歌」は東進の富井先生の著書から学んだ内容です。ぜひみなさんもやってみてください。
1.助動詞接続の歌
―桃太郎の替え歌―
接続…何形の下にくっつくのか
桃太郎さん 桃太郎さん
お腰につけたキビダンゴ
一つわたしに 下さいな
①未然形、未然形、
る・らる・す・さす・しむ トキテ
む・むず・じ・ず・まし・まほし
②連用形、連用形、
き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ。
なり、ごとし なら 連体言 (連体形・体言)※「なり」は断定
③なり体言たり断定 (体言に接続で意味は断定)
サミシイ「り」ナラ完了デ、
(完了・存続の意味がある)
サ変ハ未然ニ四段已然。
(サ変動詞の未然形、四段動詞の已然形に接続)
④終止形、終止形
らむ・らし・まじ・べし、めり ト なり、
ラ変に付くとき連体形~
(普通は終止形に接続するが、ラ変動詞には連体形に接続する)
※「なり」は伝聞・推定
2.助動詞「意味」の歌
―「森のくまさん」の替え歌―
ある日 森のなか クマさんに 出会った 花咲く 森の道
①
る・らるは ウカジソ(*受身,可能,自発,尊敬)
す・さす・しむ シエソン(*使役,尊敬)
ず は 打消の ず
き 過去 けり 過去・詠嘆
②
つ・ぬは 完・強・並(*完了・強意・並列)
たり・りは 完・存(*完了・存続)
む は スイ・カ・カ・エ・テ(*推量・意志・勧誘・仮定・婉曲・適当)
らむ・けむ 現在,過去推量
③
らし 推定 まし 反仮(*反実仮想)
べしは スイ 、カ・ト・メ・テ(*推量・意志・可能・当然・命令・適当)
じ・まじ 打消のス・イ~(*打消推量・打消意志)
願望は たし・まほし
④
なり・たり 断定「~だ」
なりスデン(*推定・伝聞)めりスエン(*推定・婉曲)
比況は「~ようだ」 ごとし
これで助動詞終わり

助動詞かるたでもやろう
今年から新たな取り組みとして、助動詞かるたを作成して実践しています。指定の紙を切り抜いてあとは二人組みのペアなどを作ってやると教室がかなり盛り上がります。読み札と同時にここでは載せておきますから、自由に使ってみてください。厚紙やボール紙に貼り付けてやれば本格派になります。
ひつじ先生より
助動詞の学習に関しては、あの手この手で工夫してやってきました。今回はその一端です。今後も追加でお伝えしていきます。
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