百人一首を味わう 百人一首とは?逢ひ見ての…

はじめに

今回より百人一首を扱おうを思います。

年末が近づいてきており、冬休みに百人一首を覚えてくるという宿題が課している学校も数多くあるのではないでしょうか。

ただ、歌の意味や解釈に関して授業で扱っている学校はほとんどなさそうです。

百人一首にはたくさんの魅力的な歌があります。

その理由も含めて話していきたいと思います。

百人一首とは?

京都府の嵐山の近くには、「小倉山」という山があります。 この山には、昔、藤原定家という有名な歌人が住んでいました。

ある時、藤原定家は、飛鳥時代から鎌倉時代まで、約600年間で日本で作られてきた和歌の「ベスト100」を選ぼうと考え、選りすぐりの歌集を作りました。もともとは100を選び屏風に飾るように依頼されました。これが小倉百人一首です。この小倉百人一首に収められた百首の歌は、「かるた」になっています。このかるたで遊んだことがある人もいるのではないでしょうか(坊主めくりは小さい時やりませんでしたか?)。

「百人一首に収められている和歌は、五・七・五・七・七の合計三十一音でできています。これを声に出して読んでみると、リズムがよくて楽しい気分になります。

和歌では、最初の五・七・五を「上の句」、七・七を「下の句」と呼びます。

読み手が百人一 首の和歌の「上の句」を読みはじめたら、「下の句」が書いてある取り札を素早くとって遊び ます。たくさん取るためには、百人一首をよく覚えておくことが必要です。

小さいときによく練習した人は「うっかりはげ」で覚えているのではないでしょうか。

百人一首の魅力は?

百人一首は、日本の歴史や文化、日本人の豊かな感性や心を表現した宝です。

百人一首を覚え、理解し、味わうことは、日本人として大切なことを学ぶ機会になります。

百人一首を学ぶことは、単に賢くなるだけでなく、昔からの日本人の感性や文化、歴史を学ぶことになるのです。

勅撰和歌集と百人一首

「小倉百人一首」に収められている和歌は、すべて、勅撰和歌集の中から選ばれています。勅撰和歌集とは、天皇や、位をゆずってしりぞいた元の天皇(上皇)の命令によって和歌を集めて作られた歌集のことです。

「小倉百人一首」の和歌は、このように国を挙げて作られた、全部で十の勅撰和歌集から選ばれています。すぐれた歌を集めた勅撰和歌集の中から、さらに百首に厳選されているのです。

参考までに10の勅撰和歌集

1古今和歌集 2後撰和歌集 3拾遺和歌集 4後拾遺和歌集 

5金葉和歌集 6詩花和歌集 7千載和歌集 8新古今和歌集 

9新勅撰和歌集 10続後撰和歌集

部立てとは?

「部立て」とは、和歌集を作るときに、詠まれている題材によって納める和歌を分類することです。

日本で最初に作られ、後の和歌集のお手本家にもなった「古今和歌集」をはじめ、勅撰和歌集に収録された和歌は「春の歌」「夏の歌」「旅の歌」「物の名前を読み込んだ歌」「恋の歌」「人の死を悲しむ歌」 「その他の歌」など に分類されて収められました。「小倉百人一首」では、この勅撰和歌集の中での分類とほぼ同じように歌を分類し、部立てをしています。

百人一首の部立て

「小倉百人一首」に選ばれた百首は、部立てごとに見ると春の歌16首、冬の歌6首、別れの歌1首、旅の歌4首、恋の歌43首となっていて、恋の歌が圧倒的に多いことがわかります。これには、美しい恋の歌を好んだ定家の和歌の好みが表れているといえるでしょう。

つまり、ほぼ半分を占めている恋の歌の心を読み解くことが、百人一首の心を読み解くことにつながります。

さらに、百人一首の約8割が男性の歌人であり、百人一首を読み解くことで男心がわかるのではないでしょうか。

ちょっと前まで、NHKの「Rの法則」という番組がやっていました。その中で「男心がわかる百人一首」という企画の番組がありました「あんの秀子」さんが出演し、解説していました。なかなか面白かったんですけどね、、、、。

藤原定家と百人一首

「小倉百人一首」の百首を選んだ藤原定家 は、優雅で気品のある美しさ、表現の外に感じられる味わいを大切にしていました。

そのため「小倉百人一首」に選ばれた歌にも、そのような定家の好みが感じられます。

和歌を詠むさまざまなテクニックを使った、繊細で優雅な美しさのある恋の歌を詠むのを得意としたようです。

「小倉百人一首」には、97番目に定家自身の和歌が入っていますが、やはり恋の歌で、約束をしたのに来ない人を待っている、切ない恋心が和歌のテクニックを、駆使して詠まれています。

 なお、定家は若いころから歌人として高く評価されていました。25歳のときに詠んだ

藤原定家
見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦のとまやの秋の夕暮れ

という歌は名歌として知られています。一生の間に歌風は何度も変化しましたが、数多くの名歌を残しています。

ひつじ先生がオススメする歌

ひつじ先生オススメの一首

 

逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり

 

権中納言敦忠(43番)

 

この歌を現代語訳すると、

恋しい人とついに逢瀬を遂げてみた後の恋しい気持ちに比べたら、昔の想いなど、無いに等しいほどのものだったのだなあ。

この歌は、後朝(きぬぎぬ)に詠まれています。まさに、恋の歌の王道です。文字通り、後の朝。つまり、 男女がともに過ごした翌朝のことです。男女が共寝をしたときに、脱いだ衣を重ねることとも、 衣をおたがいに交換して着て帰るから、ともいわれます。

後朝には、男から女のもとへ使いが文をもっていきます。紙には工夫を凝らし、字にも気をくばり、ときには香をたきじめ、季節の花を添えます。

実に雅な習慣だったといえます。今から考えたら、浮き世ばなれして、なんと風流な、とも思えます。しかし、歌が仕事、恋も仕事だった、王朝文化華やかであった貴族にとっては、特別なしきたりだったとはいえません。

政治的な手腕を発揮できても、歌を詠むのが苦手な貴族なら、苦しい思いをしました。逆に、政治には疎いが、歌が得意な貴族なら、たやすく歌がわきでました。

後者のひとり、藤原敦忠の後朝の歌がこれです。

「逢ひ見」は、男女の関係を結ぶことをさしますが、とくにこの歌の場合、相手の女とは、はじめての契りでした。

恋をしてからやっとわかる、今までの恋は恋ではなかった。自分の感情の再発見こそがこの歌の魅力です。

結ばれたからこそわかる自分の感情。

きっと今も同じ感情をもつ人もいるのではないでしょうか。

参考文献

1 百人一首新事典-マンガ-解説で覚える-百人一首研究会

2 恋する百人一首-趣味どきっ-山口-仲美

3 人に話したくなる百人一首-あんの-秀子

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