小説教材を活用した言語活動〜ミニレポートを書く〜

はじめに

こんにちは。昨日は、記事を読んでいただきありがとうございます。小説教材で何を教えていくのか一視点についてお話しました。本日は、小説教材を実際に授業で扱った場合、どのような「言語活動」をしていくのか例を具体的にお話したいと思います。本日は「ミニレポートを書く」です。私は、高校の教員ですが、少しアレンジすれば小学校・中学校でも可能な実践になるのではないかと考えています。お時間よろしければお付き合いください。

ミニレポートを書くことについて

以前、上のツイートをしたことがあります。私は、小説や評論文を授業で題材にした時、「まとめ学習」の一貫で「ミニレポート」を書くように指導しています。もちろん、古典分野を扱った際にも書かせることもあります。3年間持ち上がりで生徒の指導に携わることができた経験から言うと、やはりこの活動は何回も実践することが重要だと思います。一見すると地味な活動ですが、継続的に繰り返し行うことで確実に伸びていくと思います。今回は小説教材を扱った場合を紹介します。

どんなテーマで書くか

どんなテーマで書くか。これは、悩ましい部分ではありますが、ある程度生徒に選択させていくことが重要だと考えます。私は下の6つの中より教師が考えて作成することが重要なのではないかと思います。

ミニレポートのテーマ

① 「登場人物」に関すること

② 作品(教材)の「テーマ」に関すること

③ 「表現」に関すること

④ 「解釈」が分かれる部分に関すること

⑤ 原典との比較に関すること

⑥「たられば」「もしも」に関すること

私は、この6つの中から生徒の学習レベルや状況に合わせて、レポートの課題を考えるのが良いといます。①〜⑥まで説明していこうと思います。

①「登場人物」に関すること

まず①ですが、小説の「登場人物」に関して、「自分はどう思うのか」という視点から意見をもたせます。例えば、『羅生門』において、「下人が最終的に盗人になったことに関してあなたはどう思うか。」というような視点から意見を書かせます。『舞姫』なら太田豊太郎の生き方、『山月記』なら李徴の生き方、などが考えられます。後からの内容にも関係しますが、このようなテーマで書くことを通じて本当の狙いは、「読解の深まり」です。レポートに至るまでの授業において、登場人物の「心情」について理解を深めたり、行動の意味を考えたりすると思います。レポートを書くにあたって、それをもう一度「問い直し」するように指導します。レポートを書くことを通じて、前の授業では理解することができなかった「心情」部分に関して理解することができるようになるかもしれません。

②作品(教材)の「テーマ」に関すること

次に②ですが、作品の「テーマ」に関することに意見をもたせます。例えば、『羅生門』のテーマが「生きるためにはまじめな人も盗人になる」だとしたら、「生きるために仕方がなくする悪は許されるか」という「課題」に対して自分の考えを書かせてもよいでしょう。また『山月記』では、テーマが「芸術に執着する者の苦悩」だとすると、「夢を目指し続けることの苦しみ」に関してレポートを書かせても良いでしょう。小説の授業においては、主題に関わる部分は確実に授業で扱いますから、授業の活動によって変えていってもよいと思います。

③「表現」に関すること

③に関して言えば、扱う作品によってかなり幅がありますが、例えば、『羅生門』では、「やもりのように」とか「猿の親が猿の子のしらみを取るように」という「比喩」の表現が多用されています。また、他にも比喩はありますが、そのような「表現の工夫・効果」に関して一つ一つ分析し「自分の考え」をレポートに書かせても良いでしょう。生徒によっては「どんな表現が面白いか」など視点がわからないという場合もあるでしょう。そういう時は以下の著書なども参考にしてみると良いかもしれません。

中村明『日本の作家 名表現辞典』

この本は日本の有名な作家に関して、名表現を取り上げ、中村先生が分析しています。手元においても良い著書だと思われます。

神田 桂一『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』

また、このような著書もあり、授業で扱う場合には、憚られる内容になりますが、その作家の文体をよく意識して書かれています。少しネタとして、休憩がてらに読むことをお勧めします。

④「解釈」が分かれる部分に関すること

④に関して言えば、象徴的なイメージに関して、自分なりの立場から「解釈」してレポートを書くというものです。例えば、梶井基次郎『檸檬』に関して言えば、「えたいの知れない不吉な塊」は実際には何を表しているのか、とか、『山月記』の最後のシーンの「月」は何を表しているのか、などが考えられます。先日の記事にも書きましたが、答えがない分「豊かな」読みになります。

また、登場人物の行動の意味でも、「解釈」がわかれる場面があります。先ほどの『檸檬』では、「最後に檸檬を置いて行ったのはなぜか?」なども良いでしょう。『こころ』では、「Kの遺書の中にはなぜ静の名前はなかったのでしょう」などでも良いかもしれません。ひょっとしたら、レポート課題を出す前に、授業で扱っている内容かもしれませんが、もう一度この「課題」を考えることで、「あの時は○○だったけど、今もう一度読み直したら○○だな」とか意見が変わって面白いかもしれません。

⑤原典との比較に関すること

これは、『山月記』なら「人虎伝」、『羅生門』なら「今昔物語」などとの比較をするパターンです。授業の中で、取り扱うことができなくても、このレポート課題の時に、配布して、「共通点」や「相違点」をピックアップすることによって、教材で扱ったものの「価値」を再構築する方法もよいと考えます。

もともとの「テクスト」だけでなく、もう一つの「テクスト」を用いて、比較したり考えを交流する授業を考えている場合は、下の著書を参考にするのも良いと思います。

安永 悟『LTD話し合い学習法』

この学習法に関しては、またいつか記事にしていきたいと思います。

⑥「たられば」「もしも」に関すること

これは、「もし〜だったら」を小説教材で「問う」内容です。普段の授業で扱う場合もありますが、作品とは全く関係のない話で盛り上がったりする場合があるので、注意が必要な項目です。

私も以前にこのようなツイートをしたことがあります。文学において「たられば」を取り入れた授業スタイルです。

例えば、

文学のたられば

①李徴が虎にならないようにするためにはどうすればよかったか?

②Kが自殺しないようにするためにどうすればよかったか?

例をあげてみました。「文学と主体的に関わるためのパフォーマンス課題」であり、あくまで「たらればや「もしも」は「発展的な位置づけ」であり、「読解」があってこそだと思います。慎重に扱う必要があります。

「危険性」として考えられるのは、

たらればの危険性

①作品の価値を損なう可能性がある
②テクストを越えた空想の話になりやすい
③評価規準(基準)不明確であり、評価が難しい

があります。生徒たちは結構楽しそうに取り組むも事実です。

「可能性」や「メリット」として考えられるのは

たらればの可能性

①自分の読みを深める
②新たな作品の価値や魅力に気づく
③教師の枠を越えた答えが生まれやすい

きっと、このような問いは、教室に異質なものを持ち込むので、賛否両論になることは確かです。また、この点、ご意見くだされば嬉しい限りです。

おわりに

以上、6点ミニレポートのテーマを挙げてみました。毎回すべてのテーマを実践する必要はないと思います。生徒の学習レベルなどに合わせて、3つぐらいテーマを設定し、その中から選ばせるのが良いかと思います。もしよろしければ、実践してみてください。この実践は、小学校や中学校での実践でも応用できる内容だと私は思います。また、実践した際には、ご意見いただければ嬉しいです。今回は「ミニレポート」という内容に関して、「テーマ」の一視点をお話しました。「評価どうすんの?」「書いたレポートどう交流すんの?」「他にも言語活動あるけど!?」という意見もあることと思います。またいつかお話しします。

長文失礼しました。ここまでお読みいただき、感謝します!少しでもお役に立てれば幸いです。

最後に、縦書きの原稿用紙のエクセルデータを添付します。もしよろしければお使いください。タブで切り替えて表面と裏面があります。A4サイズです。

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