「評論文」はじめの一歩〜高1のガイダンス〜

はじめに

本日は、高校入学した生徒に「評論文」学習のガイダンスをしようと思います。もしよろしければお付き合いください。高校へ入学した生徒に現代文の「評論文」学習で何を伝えるべきなのか、整理したいと思います。

1「説明文」と「評論文」の違い

 中学生の頃までに勉強してきた国語の文章の多くは「説明文」です。
「説明文」は知らなかったことを説明する文章であり、私たちはその文章を読んで知ることが大きな目的です。

 ただ、高校生にから学ぶ文章は「評論文」です。評論文は単に物事を説明するというよりは、筆者独自の主張を論理的に述べた文章です。なので、まずは「筆者の主張」を読み解いてくことが重要なのです。

説明文と評論文の違い

説明文・・・知らなかったことを説明する文章

評論文・・・筆者独自の主張を論理的に述べた文章

2 評論文の魅力とは?

次に、評論文の魅力とは何でしょうか?なかなかパッと一言で伝えるのは難しいかもしれません。

私が考える魅力は、

「当たり前」だと思っていることへの「問い直し」だと思います。

 これは、一見して誰から見ても「そうだ、そうだ」って思われる「共通の考え」に対して、いやいや「それってどうなの?」って問題提起することです。それができると、新たな発見を得ることができます。そして、日常生活において「ものの見方」や「考え方」が変わるきっかけになります。それは、突き詰めていくと、「自分の幅」を広げることになります。私たちがこれまで「批判的」にあまり見てこなかった内容に対して、「新たな発見」を得る機会が得られるのではないでしょうか。

 例えば、「空白」は「寂しい」という考えが「当たり前」だとすると、実は、その「空白」こそが魅力だっていうと、筆者の主張になります。これまで、空白の時間などが嫌だなぁって思うような人にはその評論文は読む価値があるかもしれません。

 また、「お金もてば幸せ」という考えが「当たり前」だとすると、実は「お金もってなんかいても幸せになれないぜ」っていう場合が筆者の主張になります。もちろん、この筆者の考えに最初から賛同するという方も見えると思いますが、中には「お金もてば幸せ」って考えている人もいるでしょう。

 世の中には「常識」と思われる考え方ってかなりたくさんあると思います。実はそれをそもそも「常識」だと考えていない場合が多いです。そこにスポットを当てて考えていくことによって、「新しい発見」が得られるのです。

また、この内容に関して私は先日こんなツイートをしました。

とTwitterにおいても疑問を投げかけたところ、多くの先生方に反応をいただきました。リプライいただいた方の言葉を掲載します。詳しくは私のツイートをご覧ください。

評論文の魅力とは

・「他人の考え方を学ぶ」

・『文章・文字を介して知の世界へアクセスできること。また、文章が難しいとそのアクセスは冒険にもなること。』

・他人の考えに「自問自答」すること

・自分とは違う視点や思考回路の発見、そのカウンターとしての自己の客観化(への快感)

・様々な視点から考えることができるので批判的思考の訓練ができる

・自分がこれまで身につけた『偏見』の点検ができる

 どれも、素敵な言葉です。私が大事だと思うのは、教師が自分なりの考えをもってそれを生徒にはっきりと伝えることです。この「学ぶことの意義」に関しては「ガイダンス」でぜひ伝えたいですね。また、他にもお考えがありましたらぜひお聞かせください。

3「評論文」の学習で何を学ぶのか?

それでは、「評論文」で何を学んでいくのか、説明したいと思います。主に3つです。

評論文学習のポイント

(1)「評論文」の〈読み方〉→どう読んで理解するか

(2)「評論文」の〈解き方〉→どう問題を解くか

(3)「評論文」の〈関わり方〉→どう自身と向き合うか

私は上の3つの内容が「評論文」の学習においては必要であると考えています。

(1)「評論文」の〈読み方〉

ただ、入門期の最初は、まず(1)に関して説明していく必要があります。ただ、最初の「ガイダンス」から張り切りすぎて説明しすぎてしまうと、生徒が疲れてしまう傾向にあると実感しています。ここでは簡単にポイント解説のみします。詳しくはまたいつか。ポイントは6つあると考えています。

「評論文」の〈読み方〉のポイント

①評論文の話題やテーマは何か。

②筆者の主張は何か。

③主張の理由や根拠は何か。

④具体的な例示は何か。

⑤対比されている内容は何か。

⑥引用の意図は何か。

①は、どんな話題が書かれているかを掴むことです。だいたいの場合が最初の2段落を読めば、どんな話かがわかります。焦らず、じっくり読むことが大事です。

②は、評論文を学習する上で一番重要な内容です。①の話題を掴むことができれば、あとは筆者がどんなことを伝えたいのか、言いたいのか、その主張を捉えることが大事です。ただ、最初に主張を述べる場合もありますが、そうでない場合もあります。注意が必要です。

③は、②で捉えた主張の根拠や理由がいかにして書かれているかを捉えることです。理由が直接述べられる場合もありますが、大抵は④〜⑥の項目を根拠にしている場合が多いです。因果関係を掴むことが大切です。

④は、具体的な例を提示することによって、筆者の主張の根拠とする内容です。例証される内容に関しては、主張がすでにわかっている場合、早くスピード感を上げて読むことが可能になります。

⑤は、対比される内容です。よく入試の評論文では、「西洋と日本」「近代と現代」などの対比が出てきます。筆者は対比されている内容を取り上げることを通じて「筆者の主張」をより際立たせることの効果があります。

また、「一般論と筆者の主張」という対比も評論文ではよくあります。一般論は「社会の通念」であったり、「常識的な価値観」であったりします。筆者の主張は、そういった一般的な考えを否定することから、述べられることが多いので、重要です。

⑥は「引用」がどんな効果があるかを捉えることです。入試問題が長文になる場合は、「引用」が入ることが多いです。重要なのは、その「引用」が筆者の主張の補強として使われているか、反対の立場の引用なのか、です。また、「引用」が一部賛成で不足部分ありという場合もあるので注意が必要です。

また、論文での引用箇所は、2段下げで書かれます。一旦引用箇所を飛ばして、その後の文章を読んで、「主張の補強」か「反対の立場」か判断してから、引用箇所を読む方がスムーズに頭に入ってくる場合も多いのです。

(2)評論文の〈解き方〉

 正直この〈解き方〉に関しては、1年生のガイダンスにて、話をする必要はないと考えています。〈読み方〉と〈解き方〉は別々に考えていく必要があると思います。同様にガイダンスは必要です。後日、書いていきたいと思いますが、いつになるやら。私のような、高校現場の教員より、予備校で第一線でご活躍されている先生の著書の方が良いと感じます。

(3)「評論文」の〈関わり方〉

次に〈関わり方〉です。読んだ後、どう関わればよいかですが、大きくポイントは3つあります。あくまで〈関わり方〉のポイントです。

「評論文」の〈関わり方〉のポイント

①筆者の主張に対して自分の意見を考える

② 筆者の論証の方法に対して学んだことを考える

③新しく知った知識とこれからに身につけたい知識を考える

①に関してですが、授業の中で読み取った筆者の主張に対して自分の意見を考えるという〈関わり方〉です。そのためのポイントは、

筆者の主張を一文で要約するという活動です。

一文に要約したあと、その文章に対して「賛成」または「反対」などの立場を明確にした文章を書く言語活動なども良いと思います。

②ですが、先ほどの〈読み方〉のポイントで扱った内容に関して、論証の方法や引用の方法などが適切になされているのか、評価するということです。この部分で考えを形成する学習をすると、小論文やレポートを書く際に、自分の論証が適切になされているのか、自身で確認できるようになります。

③ですが、「評論文」であっても、読者からすると、新しく知った知識があります。筆者の主張を読むことが第一に重要になりますが、身に付けた知識をまとめることだけでも文章に関わることができると考えます。

また、身に付けた知識から派生してさらに知りたいと思った内容をまとめることも「評論文」に関わることに繋がります。これは正直、学習している本文から逸脱するかもしれませんが、こういう学習を自発的にできれば、回り道になりますが、学習している文章に関わることになることもあると思います。

4 「評論文」学習について思うこと

これまで、10年ほど高校教師として生徒たちに国語を教えてきましたが、「評論文」の学習に関しては、誠実に努力し確実に成績を上げてきた生徒を何人も見てきました。

入試の評論文に関しては、一見すると文章そのものが難解に感じるものもかなり多いです。ただ、正しい〈読み方〉を身につけることができれば、自分の遠い存在であったものを身近なものにすることも可能です。

また、私は評論文の学習は、社会を知るための入り口だと思います。「評論文」を学ぶことを通じて、新しい世界を発見することができることもあります。また、世の中で常識になっていることに対して批判的な視点を獲得し、より今の社会を良くするためにはどんなことが必要なのか考えることができるかもしれません。私自身もまだまだ知らないことばかりです。生徒と一緒に、文章を読み解きながら、今の現代社会の課題などを共有し、新しい視座を手に入れることができれば良いなぁと考えています。日々、そういう時間を創っていきたいと考えています。

今回の記事では、実際に文章を例に扱うことができなかったので、また次回以降その実際の教材などを扱って書いていこうと思います。まずは、定番教材で考えていく予定です。「水の東西」とか「手の変幻」とか「であることとすること」とか、、、。

また、〈関わり方〉の部分に関しては、かなり大雑把に書いてしまいましたが、この部分に関しては、私は非常に重要な視点であり、学校教育で積極的に実践すべき項目であると思います。まだまだ詰める必要はありますので、一視点として受け止めください。追記していく予定です。

ここまで読んでいただき感謝します。長文失礼しました。ご意見などありましたら、ぜひよろしくお願いします。

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