「古文」はじめの一歩〜高1のガイダンス〜(前編)

1 はじめに

先日は記事を読んでいただきありがとうございました。本日は高校に入学した生徒に「古典」の学習のガイダンスを整理して説明していきたいと思います。

2 古典とは、そもそも何か?

古典とは、時代を超えて読み継がれてきた作品です。ここまで受け継がれてきて、今私たちが読むことができる、それ自体が奇跡なのです。

まず、最初に間違えやすいので、注意して欲しいことを言います。それは、「古典」とは、「古文」と「漢文」を合わせたものを言います。よく「古典」を「古文」と捉えて説明する人がいますので、間違えないようにしましょう。また、「古典」というと、日本文学に限らず、世界の文学を示す場合もあります。

3 古典を学ぶ意義とは?

 私の過去のツイートにて、「古典を学ぶ意義」に関して、様々な先生方の著書から引用して説明していたことがあります。まず、ちょっと遡って見てみます。正直、「古典を学ぶ意義」に関しては、古典を教える先生方それぞれが自分なりの答えをもっていると思いますし、それを否定するつもりは全くありません。ただ、私が大事だと思うことは、教壇に立つ先生自身が自分なりの答えをもって、それを授業の中で伝えていくことです。先日、国語総合の教科書の古典編の教科書を読みましたが、ほとんどの教科書において、「古典を学ぶ意義」に関して書かれていませんでした。なので、先生によっては授業でいきなり「児のそら寝」の音読からスタートする、というのも考えられます。もちろん、実際の教科書の教材を扱いながら、「古典を学ぶ意義」を伝えていく場合もあるとは思いますが、1年のはじめくらい、授業担当の先生が古典を学ぶ必要性やその意義を語っても良いのではないか、そんな風に思うのです。

ツイートを引用しながらあれこれ考えます。

 これは、もうすでにタイトルにも書かれているが、人生を救ってくれたのが古典と清川先生は語っている。しみじみと伝わる古典エッセイです。よければぜひ。

 古典は自分が辛い時に救ってくれる。そういうものなのかもしれない。

 勉強の価値ってなかなか、高校生にとって見出しにくいもの。大人になってから「あの時、勉強しておけばよかった」とか思う人もたくさんいます。私としては、少なくとも学生のうちは、これはいらん!って安易に切り捨てるのは悲しすぎます。実学に結びつかない、って切り捨てられるのは、悲しいです。確かに、古典を勉強したからといって、すぐにビジネス分野で力を発揮してお金儲けにつながるっていうことは極めて稀です。ただ、すぐには役に立たないけど、後になってじわじわ効いてくる、そんなこともあると思います。

また、こんなツイートを思い出しました。

 古典とは「転ばぬ先の杖よりも、転んだあとの絆創膏」

という安田先生のこの言葉は自分の胸に響いています。学んだら失敗しずらくなる、そういうものではなく、学んだらいつか失敗した時とか苦しくなった時に古典が助けてくれる。清川先生の考えと似ていますね。

この村上先生の言葉は、的確に意義を語っていると思います。引用部分を自分なりにまとめてみます。

古典を学ぶ意義

村上先生のまとめ

・自分たちが当たり前だと感じていることって実は過去から来ているのでは?

・古典は文化の履歴書のような側面がある。

・過去のことを学ぶという側面だけでなく、現在の考え方や感じ方の由来を学ぶことができる。

・未来を考えるためには過去を学ぶ必要がある。

なるほどな、と私としては頷くことばかりです。

今まで当たり前だった考えの由来って実は古典にあったことを知ったり、今使っている言葉について、再発見すると古典の奥行きがわかるかもしれませんね。

例えば、私たちは今、現代語で人のことを「かわいいですね。」とか「きれいですね」って褒めます。実は、今から1000年前には、もっともっとたくさんの言葉がありました。「清らなり」という言葉は、超一流の気品がある美しさで、「清げなり」は二流の美、「麗し」はきちんと整っている様子で、「美し」は小さくて幼い様子がかわいい、「らうたし」は弱いものがいじらしく、、、、、他にも、「なまめかし」「あてなり」「艶(えん)なり」などの言葉も「美しさ」「かわいらしさ」などの「美」を表していますが、ちょっとずつ意味合いが違ってきます。いろいろ古典の言葉を調べていくと、今の現代語ではそんなに区別しないことと比べて何か発見があるかもしれませんね。

『枕草子』の「ものづくし」の章段には、「〜もの」というタイトルの章段がたくさんあります。「うつくしきもの」「あてなるもの」など、その当時の「美意識」に関わる章段を読んでみると、当時の感覚と今の感覚が似ていることに気づいたり、新たな発見があったりするかもしれません。もしよろしければ、『枕草子 ビギナーズクラシックス』は私のオススメです。折に触れて、読み返します。

また、Twitterにおいて、「#あなたにとって古典とは何ですか」というタグで多くの先生方が発信されていました。私も参加しました。このタグを検索してみると、「古典を学ぶ意義」の理解が深まるかもしれません。

この細谷先生の引用部分のこの言葉は、「古典」に限らず、どんな授業創りに対しても言えることなのかもしれません。細谷先生の言葉は「わからなさ」を一緒になって共有し、考えることができる環境の大切さを言っています。

解釈が分かれているところ、高校生自身が今の感覚からすると理解しにくいところ、など“わからない“という部分を共有することができる

ことも「古典を学ぶ意義」だと思います。極端な言い方になるかもしれませんが、平安時代の内容なんて、現代に生きていたら遠い世界の話ですし、“わからない“ことだらけです。ただ、この“わからなさ“を教室で共有し、その課題をみんなで考えることができること、そのものが「古典を学ぶ意義」なのではないか、そんな風にも思うのです。

また、大野先生のこの引用箇所は、

古典を通じて「ものの見方」を学ぶことは「現在の生活を豊かに」する

ことを言っています。なかなか、高校生に実感を伴うようなことを伝えるのは難しくなりますが、このように、外国に行ったことのある人とない人の例を伝えるとよいかもしれませんね。次の山口仲美先生のツイートも同じようなことを言っています。

この引用箇所から

現代とは全く違うものの見方や習慣を知ることで、現代を一番正しいと思う傲慢さから解放される

と捉えても良いでしょう。山口先生は「相対化の視点」を与えてくれるとまとめていますね。

以上、「古典を学ぶ意義」に関して、私のツイートからあれこれ私なりに考えてみました。もちろん、私の書いていることは絶対ではありません。一人一人がそれぞれ見つけていくものだと思います。中には、古典をあれこれうるさく必要だ、と言っても、不要だと言い切る人がいるかもしれません。「古典は不要」という考えに対して、私としては悲しい限りですが、今私にできることは、その「古典の魅力」を語り続けること、それしかできない、と思うのです。

また、いろいろ考える中で、いつか生徒にも、一年の終わりなどにおいて、「古典を学ぶ意義は?」と問いかけてみたくなりました。教師として、「もう古典なんて勉強したくない」「古典なんて勉強してもまったく役に立たない」なんていう言葉はもらいたくないですよね。また、「受験で必要だから」「授業であるから仕方なしに」という意見も高校生から出るかもしれません。少しでも変わるきっかけをあたえる古典の授業ができればと思います。

最後に、自分なりに整理します。

古典を学ぶ意義

①古典には、将来苦しい時に助けてくれる言葉がある。

②古典を学ぶと今の生活を豊かにしてくれる。

③古典の心は現代の心と同じ。

③「わからない」を共有できるきっかけになる。

4 「古典嫌い」について

高校生に古典の授業をしていて、古典が嫌いな生徒は少なからずいます。どうして古典嫌いなのか、その理由を聞いてみると、一番多いのは、「覚えるべき項目」が多すぎる、ということです。以前こんなツイートをしたことがあります。

高校生に授業をしていて、特に古典文法の「助動詞」の分野をうまく乗り越えることができずに、「苦手」そして「不得意」そして「嫌い」になっていく生徒が多いように感じます。また、いつか助動詞をいかに楽しく学ぶのか、具体的な方法については話したいと思います。

今回はガイダンスですので、「楽して通れる道はない」ということを伝えます。ただ、英語に比べれば「覚える量」はかなり少ないですので、覚えることは覚え、その知識を正しく活用すれば、受験の「古文」に関してはある程度の点数は取れます。根気強く、時には「楽しく」活動を入れながら指導していきたいと思うのです。

おわりに

今思い返すと、私が中学生のころ、兄の部屋にあった『徒然草』を読んだことが自分が古典って面白いなって思うきっかけだったのだと思います。学校で学んだ『徒然草』って、なんか説教くさくてあんまり好きになれませんでした。ただ、その時読んだのは、「女の本性ってねじ曲がっているよね」とか「モテるための条件」が書かれていました。けっこう大胆なこと言うなーって思ったんですね。ひょっとしたら、今まで古典は好きではなかったと思う人もいると思いますが、いろいろ読んでいくうちに「古典の魅力」に気づくかもしれません。

今回の記事では、「古典を学ぶ意義」に関して私のツイートを参考に書きました。とりとめのない雑文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。また、ご意見いただけると嬉しいです。

次回は古典ガイダンス後編として、「古典文法を学ぶ流れ」「ノートの書き方」「予習・復習の方法」「扱う教材」などをお話ししたいと思います。

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